ANIVARS-ROAD1
prologue
scene 01
2006年3月
果てしなく広い上世界を飛翔する鳥の大群
先は見えず続く広い道路を歩く二人の青年は対照的だった
一人は危険な空気を纏う灰色の髪と鋭い青い瞳の相貌で痩せ形だが筋肉で引き締まった肉体がスリムな体型を強調するjacket【ジャケット】を着こなしていても明白である。長身で180㎝近くあり、鉛の入った革靴を履きながら足を力強く踏む。風格とmatch【マッチ】していた
ークソたりぃー
もう一人の青年は癖のある金色の髪型をした長身の美形。肩を並べて歩く程、身長はさして変わらず何処か神秘的で穏和の雰囲気と優しい銀色の瞳を持つ。全身が白で統一され、隣で歩く男には無い魅力を兼ね揃えている。胸中も穏やか
ー分かり易いなー
互いに並べば身長、体重共に類似する程大差無いが印象は正反対である
「ざってぇな。ここは…だっ広く何も無ぇツマらな過ぎる退屈じゃねぇか」
愚痴を垂らす男は不機嫌だった。溜息は溢れ欠伸に変わり不快な感情が重なり大股広げ歩く
「いや、あれは君にも原因あるんじゃないかな?派手好きなのは認めるけど度外し過ぎだって。大破大壊大変大事。全滅させたんだからさ」
対象にゆとりのあり上機嫌に話す男。気品を兼ね揃えた風格は貴族を連想する。指先をくるりと回し後方で微かに未だ上昇する煙
「るせぇぞLectat【ルシャト】。たまにはシクるぜ俺も…何せ窮地に立っちまったからマジで何とかしねーと思ったからな…派手にカマしてきやがってあのクソ共が」
横目で確認し微笑むLectatと呼ばれた青年はwaveのかかった髪を抑えた。上空で飛行船が通り過ぎる時に風圧で乱れるからだ
「まぁ、そう言わないSick。あの先見てよ」
眉を潜めSickと呼ばれた青年は視線をLectatの指先が指した方向に向ける。視線が捕らえたのは乗用車。道路から外れた芝生に停車している四人乗りの一般的な小綺麗な車で乗車者達が外で話している。悪巧みな笑みを浮かべた
「善良だったらOKだな。善意全開でテメェが交渉だな」
「悪者なら即答だね。悪意丸出しで君が交渉だね」
互いに顔を合わせ前進する
Sickは首を回し指先を鳴らしながら背中に手を回し凶器に手を触れる。対象の生涯を一瞬で終幕する殺傷物
【撃鉄】
Lectatは優しく微笑むように歩く。規律良く姿勢正しく。同様に腰の裏に手を触れる。銀に輝く凶器の産物
【撃鉄】
対照的な二人が歩く道に確かな事が言えるのは
進む先に不運が訪れる風が生暖かく心地良い春を予感させた
AWAKE
TRACK1
『ANIVARS-ROAD』
「ところでよぉ……」
「何だい?」
「この国に来るの確か四年ぶりじゃねぇかな?」
何となく望郷したのは過去に関与した事件を思い起こし、何処となく古傷が滲み痛み出すかのような錯覚に陥った
「へぇ。それって……Diktatorisen Hallinnon【独裁国家弾圧事件】の事かい?何かsympathizer【シンパシー】でも過ぎるかのようなそんなのがまやかしで実はlady絡みの君らしい騒動の渦中だったとか?」
くすりと笑い陽動の視線を混ぜた含みを込めるLectat【ルシャト】
「んな事とは……何となくあるが三日が三カ月くらい濃厚で過密だったんだよ」
軽く髪を指で払い唇を少し下げた
「まさか図星だったの?あの事件は世界に衝撃で傍らにlady絡みの確執もあった君の波乱な人生に一票」
「るせぇぞ腹黒野郎」
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