ANIVARS-ROAD2
『美しきか儚きかな瞬く間に』
少々上り坂の道路に停車した車の外に男女が談笑している。死角になる為に反対側の芝生にあるコンテナの裏に身を隠し観察するSickとLechat【ルシャト】。口元が緩むのは善意の印象
「俺の番のようだね。君は少々残念そうにヘソを曲げた」
ーピクっ!ー「オイ、エセ面。案外話したら悪態突かれっかもだぜ?癖っ毛受け入れNOーとか抜かされっかもな。へっ!!」
ー案外第一印象良い奴って化けの皮剥がれっと最悪直行も珍しく無ーしなー
「いやいや初見で罵倒なんて卑屈で見下した輩なだけであって君なら納得、俺なら不一致。何より罵倒なら容赦無しの1択。早い話しだしね」
ーこの減らず口がぁぁ!ー「ほへぇ?だったら面倒がっていきなし銃ブッ放した奴が何処に居んだよ?大体」
「しっ。車に誰かが近付いてる」
Lechatは視線の方向に居る人物を観察する。外見は子供だった。ボサボサの髪が勢い良く外側に跳ね脳天まで逆立つくらいである。生暖かい空気と気温の高さから考慮すれば厚手のcoatは少々汗をかくかもしれない。小柄で童顔な印象もあり少々大きいcoat【コート】がより外見年齢を若くさせた
「うーん。これはまだ様子見だね」
「そうだなソイツでーーーー」
飛び出すSick!突如の状況に対応した行動である!突如無理矢理少年を車に乗せようとしたからだ。続くLectatは静かに前進しながら 【撃鉄】に手を触れた。良い都合だと解釈した!何故なら好都合で状況を有利にする有効な判断だと行動出来る先手である。走り出した!標的に近づくその時、車から無理矢理乗せようとする少年が叫ぶ
「助けなくていいからそのまま何もしないでぇぇ!!!」
突如急停止する!滑り込んでから上体を起こし加速しようとしたので踏み留まる時に滑りそうになるSick!後ろから接近していたLectatは撃鉄を納め広い視野で周囲を見渡していた。快晴な空と風が吹きカモメが空を通過した
「いや、待てって。意味深過ぎんぜ?どういう事だよその返答。それに連れ去る奴等なら見過ごせないだろ」
Lectatは同感だったが胸中で思惑する
ーこの場所からは逃げたいようだ。連れ去れれば移動手段がある事だ。ここから距離を取りたい理由があると判断かー
人差し指を折り曲げ顎先に当て見極めた
「尚更だ。オイ!その餓鬼置いてけBlack-Surfer【ブラック・サーファー】面!!ソイツの身柄は貰った!【聴取】するからなぁ!!」ー雑だが悪くない。キーワードから連想するのは公務員だ。それにしても引っかかるな…黒くないSurferなんているの?まぁ確かに軍人にしては…ね?ー
少々苦笑し吹き出しそうになる。歩きながら歩幅を縮めSickを追い越し前進するLectat
「身柄を引き渡してくれれば【拉致】は見過ごそう。昨今、過激派による事件も相次いで厳戒態勢も止むを得ない事態だ。さぁ、ゆっくり渡すんだ」
左手を腰に手を当て右手で引き寄せるように合図をする。最もらしい姿勢と仕草を相手に見せる事が有効だと判断した。Sick立ち尽くした
ーくぅ。コマい芝居作ってやりやがるな…俺が差し詰め現役敏腕デカでアイツが知的な理詰めタイプか。オイしい所奪っちまいやがってよー
「何だテメェら!だったら証拠を見せて見やがれ!!!」
「それは連行して然る対処を行う施設へ直行するだけだ。あえてここまで交渉しているのは見逃す気でいるからだ…さぁ、どうする?Ladyの前で拘束させたいのか?」
ー何がLadyだ。このスマシ。徐々に半歩づつ詰めてやがるし。腹黒だな…もうすぐ接近内だなー
「クソっ!やってやる!!」
突如人質の少年を投げ捨てた!Black-Surferの背後から低姿勢で飛び出して来る第2の黒い波乗り!!そのままの体制でLectat目掛け突進するが寸前で交わし黒い波乗りとSickが対峙する!突進が回避され地面に手を着いた瞬間Sickは右足で突進者の顔面に蹴りを放つが地面に着いた手を力強く当てた反動を使い後方に飛び込み跳躍する瞬間追撃を避ける為に勢力付け両足を伸ばした!!追撃を遅らせる為である
ーやるじゃねぇか!ー
着地の時、更にSickは押し出すように直進する蹴りを放つが低空で飛翔し寸前で回避直後Sickの放った蹴りに体重を乗せる為に足を突進者は振り下ろすがSickは足を払うように軌道を左方向に動かし直撃ならず。踏み込むSickは着地する絶妙の間を突進者目掛け右拳を振り下ろす!!Guardする突進者は表情が歪む!Sickの左拳が腹部に直撃しよろける瞬間右足で突進者の左足を払い一瞬宙に浮いた全身を更に距離を詰め右拳が突進者の顔面を捉え吹き飛ぶ!道路の地面に背中を打ち付け
仰向けになって気絶した
Lectatは瞬間的に地面に叩きつけられた少年の前に立つべく撃鉄を取り出す<br>Black-Surferと向き合いながら近付く。正面を常に向きながら歩く動作は正直手間だった。何故なら地面にある小さい四角の固形物に興味があるからだ
ー…発信器…だね。それにしては赤い点滅ー
痛みに耐えながら上体を起こす少年の前でLectatは緩やかに足を軽く動かし滑らし翻弄する。体術の技法である。足を軽く地面に触れる時固形物を蹴り上げ左手で掴む直後撃鉄を女性標的に発砲し頬を掠めるが悲鳴を上げなかった
ーやはりね。手練れかー
BlackSurferに向き合い歩み寄るLectatは拳銃を最速で収める。凶器を持たない敵に使うのは主義に反するからだ
「Fareで行こう。対等なら悪くないからね」
激怒し殴りかかるBlack-SurferをStepし遮断し固形物を指弾でドアの空いた車内へ弾いたと同時に顎先に拳を当てよろめく!突進する直前に耳裏に拳抵を当て更に足下がフラつく刹那!!脇腹に拳を突き刺すように深く当たり崩れ落ちる!!!倒れ込むBlack-Surferに囁くように語る
「これ以上は止めた方がいい…苦しませる事になる」Black-Surferは震撼した。脳天から爪先まで冷や汗が噴き出す感覚。住む世界。次元の相違を見下ろす相貌から感じた
合図をし引き上げる準備をする男女<br>投げ捨てるように突進者を同乗者に投げ捨てるSick
颯爽と引き上げた。乗用車の速度が物語る
SickとLectatは少年に近寄る
同時刻
軍精鋭キャンプ場
数々の階層の低い建造物が一定間隔あり、十字路を過ぎ建物を越えれば同じ四つの分岐。監視と倉庫が主な目的である
苛烈を極める犯罪者による過激な事件が相次いでから他国での一種の協定が可決された。その一つが軍の養成と他国調査及び精鋭化である。独裁国家が崩壊し、国境を越えた難民達を受け入れた民主国家は軍事基地を新たに設立し派遣する法案を2003年に成立。その初手を挙げたのが軍事開拓国家である。現在は周囲の見回りと資源の在庫調整及び敷地内の四方にある高台から広域の厳重な監視である
。勢いよく中央の金網が開く。数台の軍専用の装甲車が敷地内に入ったからだ。入り口から中央の間に一つの部屋がある。監視モニタールームである。その中にいる人物は一人。四十代前半の紺色の軍服を着た男性。体格がよく若年層の時代は砲丸投げでオリンピックで優秀な成績を残した程であり、袖を捲れば刃物すらハネ退ける程の筋力と腕の太さが強さを強調した。眉無しのスキンヘッドが尚、凄みを増し初対面なら誰もが後ずさる。その時、後ろの扉が開く
「おい、アルフレッド!交代の時間だ。飯、食って来いよ!!」
「ん?ああ、そんな時間か!悪いな何だかいつも。何かこの周辺でフェンリル財団が壊滅したって情報が流れたんだよ」
同僚は小柄な為か少々小さめのパイプ椅子に座りアルフレッドと呼んだ仲の良い同僚と会話を続けた
「それはあの資金調達で確か民間人と騒動に発展した団体の事か?色々な噂が飛び交ったな。組織と称した奴もいたな」
「それなんだよ。何だか犯罪者を護衛に雇ったり神妙な噂も飛び交ったんだよな。よく判らないが」
「しかしあの団体確か、この200人くらいは加入者が居たとかって後輩が話していたぞ。だったら抗争かな?まぁ、それは」
その時、監視モニターの映像で何かが遮った気がした。会話をしていても注意は怠らない
「監視をしていてくれ。今から北西の高台付近を見てくる」
「どうしたんだ?」
「誰かがいた」
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